この記事は2024年1月に創業したシステム開発会社NEXASPARKの経営振り返り記事です。
早くもシステム開発会社を創業して初めての上半期を終えました。会社経営は思ったよりも大変で、いかに自分が世間知らずであったのか痛感するような出来事がたくさんありました。
今回はその教訓を忘れぬようにこのブログに残していこうと思います。
はじめに
はじめまして! 株式会社NEXASPARK代表の木村です!
約9年間勤めたNTTデータを辞め、2024年4月より本格的に事業をスタートさせました。
最初は能無エンジニアからキャリアをスタートさせ、ITディレクター、データサイエンティスト、プロダクトマネージャーと時に迷いながらも自身の自己成長に努めてきました。
満を持して開業したものの、最初はうまくいかないことが多く、システム開発の事業経営は私が思っていたよりも難しいものでした。
経営状況
早速、上半期の状況を公開します。結論、【売上高:14,430,800円】【経常利益:5,791,948円】でした。(※ 純利益に関しては経常利益から法人税が引かれた金額になりますが、こちらはまだ計算しきれてないので公開を控えます)
売上/利益共に金額だけ見ると非常にうまくいった上半期となりました。
出来事
非常にバタバタとした10ヶ月間でした。起業から今日に至るまで、数多くの経験と学びがありました。
1月:法人を設立
昨年12月、私は起業を決意し、翌年1月に法人を設立しました。当初はフリーランスとして活動することを考えていたため、個人事業主や合同会社の形態でも十分だと思っていました。しかし、将来的に大手企業からの仕事を獲得する際、株式会社という形態がより信頼を得やすく、審査も通りやすいと判断し、最初から株式会社として登記することにしました。
この決断は結果的に非常に良い選択となりました。仕事を受注する際、比較的上流の商流で案件を獲得できたり、賃貸物件の審査もスムーズに通過できたりと、多くのメリットを実感しています。
会社設立の手続きについては、マネーフォワードのサービスを利用して書類関連の準備を進めました。その後、公証人役場、法務局、税務署への書類提出は自ら足を運んで行いました。この経験を通じ、起業のプロセスを肌で感じることができました。
2月:初めての仕事の受注
3月でサラリーマンを退職し、4月から本格的に事業を開始する予定だったため、この時期から営業活動を始めました。
まず、エージェントに職務経歴書を提出し、どの程度の単価で仕事を獲得できるか確認しました。予想以上に多くの案件を紹介していただき、当面の生活に不安がないことがわかりました。
エージェント経由での仕事獲得も検討しましたが、中間マージンが発生することを考慮し、別のアプローチも試みることにしました。サラリーマン時代の人脈を活かし、エージェントを介さずに直接知人に連絡を取りながら仕事を探し始めました。
同時に、SNSで起業の報告をしたところ、予想外に多くの方々からご連絡をいただきました。このSNSでの発信がきっかけとなり、実際に仕事の依頼をいただくこともできました。
3月:オフィスの準備
3月は、これからの作業場となるオフィスの準備に取り組みました。当初、「いいオフィス」というサービスを利用し、コワーキングスペースと住所利用、ポストのオプションで契約して作業を行う予定でした。
法人登記も「いいオフィス」の住所を使用し、諸々の事務処理が完了したと思っていました。しかし、なぜか会社宛の郵便物が届かないという問題が発生しました。4月から本格的に契約がスタートする前に、適格事業者の届出など税務署へ提出するべき書類が複数ありましたが、それらが届かなかったのです。
郵便局に問い合わせたところ、登録された住所には「いいオフィス」宛てのみ受け付けるよう設定されており、弊社の名前での受付が登録されていなかったことが判明しました。この事実が発覚するまでに、税務署へ宛名が間違っていないかの確認や、郵便局への転入届の確認など、多くの時間を費やすこととなりました。
この経験から、ポストサービスの重要性を痛感しました。コワーキングサービスのポストサービスを利用する方々へのアドバイスとして、以下の点を事前に確認することをお勧めします:
- 他の会社から住所の記載を求められた際、どのように宛名を書くべきか
- 郵便局へ個別に伝えるべき事項がないか
これらの確認を怠ると、重要な郵便物の受け取りに支障をきたす可能性があります。事前の細やかな準備が、円滑な事業運営の鍵となるでしょう。
4月~7月:本格始動
本格的に事業を開始し、この時期は自身の真の価値を見極める重要な局面でもありました。会社の看板を外し、個人としてどこまで価値を発揮できるか、自問自答の日々が続きました。
業務内容は多岐にわたり、プロダクトマネージャーやITコンサルタントなど、様々な役割を担当しました。クライアントも大企業から中小企業まで幅広く、多様な経験を積むことができました。
しかし、事業開始から2ヶ月が経過した頃、早くも個人の能力の限界に直面しました。この時点で従業員の雇用も検討しましたが、一旦見送ることにしました。代わりに、現状では求められている価値を十分に提供できないことを素直にクライアントに伝え、請け負う仕事を絞ることにしました。
この決断に至った理由は明確でした。多方面に手を広げすぎると、結果が中途半端になってしまい、真に注力すべき重要な業務がおろそかになる恐れがあったのです。質の高い仕事を提供するためには、自身の能力と時間の限界を認識し、適切に業務を選択する必要がありました。
結果として、いくつかの仕事から降りることになりましたが、この決断は長期的には正しい選択だったと確信しています。集中すべき業務に注力することで、より高品質なサービスを提供し、クライアントの満足度を高めることができると考えています。
業務を絞り込んだ結果、本来発揮すべき価値を十分に提供でき、高度な集中状態を実現することができました。主に教育と金融という二つの領域を軸にクライアントと契約を結び、プロダクトマネージャーとして活動しました。
8月:経理業務の仕組み化
この時期に注力したのは、経理業務の効率化です。税理士を起用し、マネーフォワードを活用して経理業務の自動化システムを構築しました。経理の知識がゼロからのスタートでしたが、一から学び、毎月・毎年必要となる業務をできる限り自動化しました。
しかし、あえて自動化せず手作業で行っている業務もあります。それは売上金の仕分け登録と給与の仕分け登録です。これらの作業は税理士ではなく、意図的に自分で行っています。その理由は主に二つあります:
- 売上高の登録が自身のモチベーション向上につながること
- 一人法人として、売上高の増加に伴う実務負荷を適切にコントロールするため
売上高が上がりすぎても、一人法人である以上、実務の負荷が過度に増加する可能性があります。手作業での登録を通じて、この状況を直接把握し、必要に応じて調整できるようにしています。
この手法により、経営の全体像を常に把握しつつ、効率的な業務運営を実現しています。自動化と手作業のバランスを取ることで、経営の細部まで目が行き届く体制を維持しています。
9月:チームの構築
この時期に、組織の小規模な拡大を実施しました。具体的には、正社員を1名、準委任のパートナーを1名雇用しました。本格的な組織拡大は来年度に予定していますが、この段階的なアプローチにより、以下の二つの重要な目標を達成することができました:
- 従業員雇用に伴う事務作業のマニュアル化
- 開発体制の強化
少人数の追加雇用は、将来の大規模な組織拡大に向けた準備段階として非常に有効でした。事務作業のマニュアル化により、今後の雇用拡大時にもスムーズな業務移行が可能となります。また、開発体制の強化は、より多くの案件に対応するための基盤となります。
この経験を活かし、今後は徐々に案件を増やしていく予定です。段階的な成長戦略により、組織の規模と案件数のバランスを取りながら、持続可能な事業拡大を目指していきます。
この小規模な組織拡大は、将来の大きな飛躍に向けた重要なステップとなりました。人材の追加と業務プロセスの整備を同時に進めることで、効率的かつ効果的な成長の基盤を築くことができたと考えています。
今後
今後の展望として、引き続き目の前の業務に集中していく予定です。しかし、単なる薄利多売の人材ビジネスを展開するつもりは全くありません。むしろ、エンジニアとして、そして個人開発者としての強みを活かし、自社サービスの開発とマネタイズに強い意欲を感じています。
今後は、日々の業務をこなしながらも、常に新しいアイデアや技術トレンドにアンテナを張り、自社サービスの構想を練っていきます。この挑戦は容易ではありませんが、エンジニアとしての情熱とこれまでの経験を糧に、着実に前進していく所存です。
今後も、定期的にブログやSNSを通じて当社の経営状況を発信していく予定です。今後とも当社の成長にご注目いただければ幸いです。コメントやメッセージなどでのフィードバックも大歓迎です。皆様との対話を通じて、より良い事業展開を目指してまいります!